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神戸地裁=神戸市中央区

 医師が適切な診断をしなかったために後遺症を負ったとして、モトクロスの元プロ選手、新井宏彰さん(40)が、クリニックを運営する医療法人社団あんしん会に約4800万円の損害賠償を求めた民事訴訟があり、神戸地裁(野上あや裁判長)は同会に約2400万円の支払いを命じた。判決は13日付。

 判決によると、新井さんは2019年3月、モトクロスの練習中に転倒して右手を負傷し、神戸市中央区にある整形外科「あんしんクリニック」を受診した。

 実際には手首の骨が脱臼していたのに、医師は神経が圧迫されしびれなどが生じる「右手根管症候群」と誤診。骨が壊死(えし)して握力低下などの後遺症が残り、新井さんはプロ選手として活動できなくなった。

 判決では、クリニックで撮影したX線画像から、骨の位置が異常であることは確認できたなどと指摘し、「医師が必要な処置を講じていれば後遺症が残存することを回避できた、高い蓋然(がいぜん)性がある」とした。

 新井さんの代理人弁護士は取材に対し「コメントしない」としている。

 クリニック側に取材を求めたが、14日夕までに回答は得られていない。

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